GPR41・GPR43って何?

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GPR41とGPR43は代表的な短鎖脂肪酸受容体であり、2003年に短鎖脂肪酸をリガンド(生体分子と複合体を形成して生物学的な目的を果たす物質の意味)とするGPCRsとして同定されました。

GPR41とGPR43は代表的な短鎖脂肪酸受容体

短鎖脂肪酸受容体は、細胞膜に存在している7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体(GPCRs)を意味するものです。過去の研究により、GPR41・GPR43・GPR109A・Olfr78などが同定されているといわれており、その中でもGPR41とGPR43は代表的な短鎖脂肪酸受容体です。

2003年には、短鎖脂肪酸をリガンドとするGPCRsとして同定されていました。細胞内の信号伝達について、GPR41およびGPR43は両者ともGi/o経路が活性化されるため、細胞内cAMP濃度の抑制およびMAPKの活性化を引き起こします。

GPR41は、主にプロピオン酸と酪酸、GPR43は主にプロピオン酸および酢酸により活性化される、GPR41では腸管の腸内分泌細胞および自律神経に高発現するのが特徴で、中でもプロピオン酸と強い親和性を持ちます。

プロピオン酸とは?

プロピオン酸

プロピオン酸とは、炭素数3の飽和脂肪酸で特異な臭気があり無色透明の液体です。別名、プロパン酸とも呼ばれるもので、水・エタノール・アセトンなどに対し非常に溶けやすい性質があります。酪酸も特有の匂いがある無色の液体で、家畜の乳脂中にグリセリンエステルとして含まれているなど名前の由来になっています。主に合成香料の原料や乳化剤などに使用されます。酢酸は、有機酸の一つで刺激臭および酸味を持つ無色の液体で、酢の酸味の主成分であり食用および薬品の原料用です。

GPR41はエネルギー消費を促す物質
GPR43は脂肪蓄積を抑える働きがある

このように、GPR41とGPR43は短鎖脂肪酸受容体でGPR41はエネルギー消費を促す物質、GPR43は脂肪蓄積を抑える働きがあります。組織での発現を詳細に解析したところ、GPR41には交感神経節に多く発現していることが研究による判明しており、Gpr41遺伝子が欠損したマウスを作り、交感神経節でのGPR41の生理機能を詳細に調べたところマウスの心拍数は低下して神経伝達物質であるノルアドレナリンの分泌量は通常よりも減少していることが分かったといいます。

これに対し、GPR43は白色脂肪組織に多く発現しているのが特徴で、Gpr43遺伝子が欠損したマウスを作り出して実験を行った結果、体重および脂質量が増加して肥満傾向になることが分かりました。なお、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸を宿主が短鎖脂肪酸受容体GPR41と43を介して感知する、これによりエネルギー恒常性を維持していること判明、中でもGPR41は交感神経系、GPR43はインスリンシグナルを制御している物質であるなどが分かりました。

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